愛しい君へ


お昼になると、昼食が運ばれてきて、陣痛が治まっている時に少し食べた。

陣痛の感覚が短くなってきている気がする。
そう思っていた午後、先生が診に来てくれた。

「陣痛の感じはどんな感じだい?」
「今、3分感覚くらいです。」
「じゃあ、ちょっと内診させてね。」

匡は一時退室し、陣痛がきたタイミングで先生が内診をする。
それがめちゃくちゃ痛くて、わたしはシーツを握り締めた。

「うん、8センチ開いてるね。そろそろLDRに移動しようか。」

先生の言葉で周りがバタバタし始める。

わたしは助産師さんが持ってきてくれた車椅子に乗り、匡は荷物を持ってLDRと呼ばれる分娩室へと移動した。

その間も襲ってくる陣痛。
この時は、喋る余裕もなくなるくらいの激痛になっていた。
もう下半身全体が砕けそうな痛みだ。

わたしが分娩台に乗ると、匡はわたしの右側に居て、手を握り締めてくれていた。

「ひより、頑張れ。もうちょっとだぞ。」

そう言ってタオルでわたしの汗を拭ってくれる。

すると、お腹から風船が割れたようなパーン!という音が響いた。

匡は「何?!」と驚いていた。

下半身から生温い水が出てくるのを感じ、わたしは破水したと気付く。

「匡、破水した。ナースコール押して。」
「わかった!」

匡にナースコールを押してもらい、助産師さんを呼ぶ。
そして、内診してもらうと助産師さんは「ほぼ全開。」と言った。

「やっといきめるからね。これから赤ちゃん産まれる準備するね。」

助産師さんがそう言うと、周りが慌ただしくなり、お産に向けての準備が進んでいくのだった。