「離婚、成立したって。」
匡からその報告を受けたのは、もうすぐ妊娠7ヵ月に入るという時だった。
玲司さんは最初、かなり離婚すること、慰謝料や養育費を払うことに対してゴネたらしい。
しかし、こちらには離婚するには充分な理由があり、不倫の証拠もあった為、かなり有利で「周りに公表することも出来るんですよ?」と五藤のおじさんが笑顔で脅したところ、玲司さんはあっさりと離婚を受け入れ、慰謝料と養育費も提示額よりも多めに一括で振り込んできたらしい。
それだけ、藤崎家の名前を汚したくないという事だろう。
無事に離婚出来たことに安心したわたしは、やっと玲司さんから解放され、"藤崎ひより"から"笠井ひより"に戻ったのだった。
「ねぇ、匡。そろそろ赤ちゃんをお迎えする準備を始めたいんだけど、手伝ってくれる?」
「おう、もちろん!」
離婚成立にホッとしたわたしは、匡に赤ちゃん用品店に連れて行ってもらうと、必要なものを少しずつ揃えていった。
「なぁ、ひより!これ見て!」
そう言って、匡が持って来たのはフクロウ柄のおくるみだった。
「可愛いー!」
「だろ?」
「匡、分かってるぅ!」
そんな会話をしながらキャッキャしてる自分に気付き、玲司さんと結婚する前の自分に戻れたような気がした。
赤ちゃん用品を見ているだけで幸せな気持ちになる。
どれも小さくて可愛くて、我が子が産まれてきてくれるのが待ち遠しかった。



