愛しい君へ


この日、匡は仕事が休みだった為、すぐに離婚に向けて動き出してくれた。
五藤のおじさんに事情を説明した時は驚いていたようだが、「ひよりちゃんの為なら!」と快く依頼を受けてくれた。

その間にも玲司さんからは、着信とLINEが入り続けていたが、わたしは全て無視をした。

そして、わたしは出来るだけ一人で外出しないように気をつけた。
買い物は匡が行ってくれて、健診がある日は匡が付き添いをすると言ってくれた。

「大丈夫?仕事もあるから、付き添い無理しなくていいよ?」
「そのへんは融通きく会社だから、ひよりはそんな心配するな。」
「本当にありがとう、、、。」

わたしがそう言うと、匡はヒヒッと笑いながら親指を立てて見せた。

わたしは何で今まで気付かなかったんだろう。
こんなに近くにわたしを想ってくれている人がいる事に。

そう思いながら、わたしは匡への想いが段々と募っていくのを感じていた。



そして、そんなある日の健診の時だった。

「バースプラン?」

助産師さんと話す時間があり、"バースプラン"を訊かれたのだ。

「バースプランってゆうのは、出産の時にこうしたいっていう希望かな。例えば、立会い出産が良いとか、無痛分娩が良いとか。あ、ちなみにここの病院は全て個室だから、そのへんは安心してね。」
「出産の時の希望、、、産み方は、自然分娩が良いです。」
「自然分娩ね。あと、立会いは?旦那さん来れそう?中には、血が苦手だからって拒否する旦那さんもいるみたいだけど。」

助産師さんの言葉に、わたしは返答に困った。
わたしには、"夫"という人が居なくなる。

わたしは助産師さんに「立会いは保留にしといてもらえますか?」と伝えたのだった。