愛しい君へ


匡の家に着いたのは、真夜中の1時半頃だった。

わたしの荷物を持ちながら、階段を上るわたしを後ろから見守りながら上る匡。
久々の202号室を見て、わたしは懐かしさと安心感で気持ちが解れていくのを感じた。

家の鍵を開ける匡はドアを開けると、「いらっしゃい。」と言いながら、わたしを家の中へと促してくれた。

久しぶりに入る匡の部屋は、何も変わっていなかった。

匡は家の中に入ると、すぐに内側から鍵をかけた。

「何か安心する。」
「そうか?ほら、座れよ。」

そう言われ、わたしはソファーに腰を掛けた。

匡は「鞄、こっちに置いとくな。」と言い、わたしのバッグを寝室の方に置きに行った。
そして、匡は戻って来ると、わたしの隣に座った。

「それで、何があったんだ?」

匡は真剣な表情で訊く。
わたしはお腹に手を当てると、「、、、赤ちゃん堕ろせって言われた。」と答えた。

「はっ?!なんで?!」
「赤ちゃんの性別が分かって、女の子だったの。そしたら、後継ぎに男の子しかいらないから、女なら堕ろせって、、、。」

わたしの言葉を訊き、匡は溜め息をつくと、「あいつ、最低な野郎だな。」と呟くように言った。