愛しい君へ


わたしが電話をかけた相手は匡だった。

匡は、わたしの声と言葉から何かあったんだと察知すると、理由も訊かずに「今、どこにいる?」と言った。

「今、マンションの1階にあるトイレにいる。」
「今から迎えに行くから。近くに何か目印になるような場所はないか?」
「んーと、、、家の近くに"豆の木"ってゆうコーヒーショップがある。」
「分かった。じゃあ、今から急いで行くから、そのコーヒーショップの近くで待ってられるか?」

わたしは匡の言葉に「うん。」と返事すると、徒歩5分先にある"豆の木"を目指した。

すると、わたしが居ないことに気付いたのか、玲司さんから着信がきた。
しかし、わたしは出なかった。

そのあとも何度も着信があっては、「今どこにいるんだ。」「今帰って来れば許してやる。」などのLINEが送られてきた。

"豆の木"の陰で少し待っていると、静かな住宅街に車のエンジン音が近付いてくるのが聞こえてきた。

そして、その車は"豆の木"の前で停まる。
白い車。匡の車だ。

運転席のドアが開き、車から匡が降りてくるのが見えた。

その瞬間、わたしは匡に駆け寄り、思わず匡に抱き着いた。

「ひより、大丈夫か?!」

突然抱き着いてきたわたしに驚き、匡は言った。

わたしは安堵から涙が溢れ出し、「会いたかった、、、。」と呟いた。

その言葉を聞いた匡は、わたしをそっと抱き締め返し「俺も会いたかったよ。」と囁くように言ったのだった。