愛しい君へ


あの日から、玲司さんは社長の集まりがあるパーティーや会食にわたしを連れて行くようになった。

突然、「結婚指輪を買いに行こう。」と言い出し、某有名ブランドのお店へ指輪を買いに行ったり、「結婚式は盛大にやりたいから、僕に任せて。」と言い出したり、何か焦りを感じているようになった。

わたしはというと、仕事からの会食やパーティーへの付き添い、夜は玲司さんの相手と、心身共に休まる日が無く、疲労が溜まっていくのを感じていた。

すると、ある日のお昼休憩時間、わたしが食堂で栄養ドリンクを片手に溜め息をついていると、同僚の可奈子が「お疲れ。」とわたしの隣にやって来た。

「あぁ、可奈子。お疲れ〜。」
「うわっ!高そうな指輪!さすが社長夫人だねぇ!」

可奈子はわたしの左手薬指についている指輪を見て言った。

「どんな時でも外すなって言われてるの。」
「愛されてますなぁ〜。」
「そうなのかなぁ、、、。」

確かに優しくはしてくれるけど、それが愛なのか、わたしにはよく分からずにいた。

「それより、ひより痩せた?最近、栄養ドリンクしか飲んでるの見たことないけど。」
「ん〜、あんまり食欲なくてさぁ。」
「顔が疲れてるよ?大丈夫?社長夫人ってのは大変なんだね。」

可奈子はそう言いながら、わたしの隣で社食のカレーを食べていた。

確かに最近痩せたのは、自分でも自覚していた。
何か食べなくては、とは思うものの、食欲がなければ、食べる時間があるなら身体を休める時間に使いたいくらい、わたしは疲れ果てていたのだ。