愛しい君へ


そして、ある朝のことだった。

「今夜は、五藤家の皆さんと顔合わせがあるからね。」

ネクタイを締めながら、突然玲司さんが言い出した。

「え、今夜ですか?」
「うん、遅くなって申し訳なかったね。僕も忙しくて、なかなか時間が空けられなくてね。」

玲司さんの突然の報告にわたしは驚いたが、それと同時に喜びが込み上げてくる。

匡に会える。
そう思うと、今日は頑張れそうな気がしてきたのだった。


その日は顔合わせの為に1時間だけ早く仕事を早退し、一度自宅に戻った。
そして、玲司さんが選んだワンピースに着替える。

わたしが着替えた姿を確認する玲司さんは「可愛いよ。」と言うと、わたしの額にキスをした。

待ち合わせの時間が迫ると、神崎さんの車で顔合わせを予定している場所へ向かう。
到着した場所は、なかなか予約が取れないで有名な高級レストランだった。

その一番大きい個室を貸し切っているらしい。

玲司さんの後ろを歩き、レストランに入って行くと、当たり前のように奥の個室へ案内された。

「こちらです。」

そう言ってスタッフの人が開けた扉の向こうには、五藤のおじさん、おばさん、そしてスーツを着る匡の姿があった。