朱里の方を見ると気付かなかったが朱里が私に近寄ってきていた。
「ねぇ先輩、彼氏がいるのに他の男と手繋ぐのっていいの?」
朱里の長い指と私の指が交互に重なり、恋人繋ぎになる。
いつも繋いでいる手なのにな…。なんか今は変。
「手!?誰とも繋いでないよ!」
さっきの謎のトキメキと近くにある朱里の顔と朱里の言った言葉と重なる指と相まって動揺を隠せず、大きめの声で否定する。
「あ…」
心臓がバクバク動くが、頭は冷静に動く。
「いや、あれは殿さんが私を引っ張ってくれただけで、手を繋いだ訳ではなくて、だから、嫉妬の対象外では…?えと、、競技だし。」
借物競争で殿さんの手と私の手が触れたのは事実だから、これかもしれない。これは私の中では手を繋いだにカウントされていなかったから直ぐに頭に出てこなかった。
「先輩、満更でも無さそうだったよ?」
「そんな事無い。絶対無い。」
そもそも手を繋いでいると思っていないのに満更も何もない。
「そ?これとどう違うの?」
と私と繋がれた手を朱里は振る。
「全然違う。こ、これは…」
「ん?これは?」
恥ずかしさで言うのを躊躇っていると朱里が煽ってくる。
「今日は先輩からの“言葉”が欲しくって、言うまで待つつもりっ。おいでっ。」
と座っている朱里の膝に座らされた。
「ーっ。」
「先輩、珍しく照れてて可愛いね。殿村先輩にはそんな顔、見せてない?見せちゃ駄目だよ。俺だけね。」
