きみは永遠の小悪魔【完】

「ふみは俺と同じの、だろ?」

「ゔっ」

「それとカルピス」

「む、ぅ…」


心をまるごと見透かされただけでなく、お子様舌であることも晒されてしまった。せめて、カルピスは当てないでほしかった。

千景くんの緩んだ唇が悪戯っぽく吊り上がる。

恥ずかしさのあまりメニュー表を盾に、顔を半分隠しちゃったの。


「真似っこすんの?」

「ううん。しません」

「あっそ」


否定するまでにかかった時間は0.03秒。横に首を振った私を横目に、千景くんはつまらなさそうに背凭れを深めたんだ。
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お会計を終えると、彗は車を取りに駐車場まで行った。私は彼が来るのをお店の外でお行儀良く待つ。店内では奏太くんが支払いをしている途中である。

少し膨らんだような、そうでもないようなお腹の真ん中に掌を当てた。

満腹感は八割ほど。食後のデザート付きで、バニラアイスを半分こしたらお腹いっぱいになるかもしれない。

眠たさに負けないよう、唇の端を思いきり結んだけど、我慢できずに小さな欠伸が落っこちる。

ふわあ、と次は大きくなる。ひとつ、ふたつと連続して、瞬きをする先で千景くんを見つけた。

指先に握った煙草のケースをそっとコートのポケットへ閉まった瞬間を逃さなかった。


「千景くん、煙草吸ってるの?」