きみは永遠の小悪魔【完】

冷たい態度に心がひんやりしたのは一瞬で、むっとほっぺたが膨らみ、静かにぷしゅと萎んだ。


「あー、だる。ふみも一緒とか聞いてねーわ」


彗の背中にぴったりくっついて、千景くんと目を合わせないように歩くの。

コートに付いてある大きめなフードを、勢いよく被りたい衝動に駆られるのは、私の存在ごと千景くんの前から抹消したいからです。

ゆらゆら霞む視界の端で、気怠そうな千景くんを捕まえた。

柔らかなミルクティベージュは、たった2ヶ月会っていない間に、トーンを落として暗めのブラウンカラーになっている。

私の深い、チョコレートブラウンと一緒。

去年の夏、初めて髪を染めた私に向かって「真似すんなや」って、意地悪を言ったのにね。


「(今度は私が真似っこされてる)」

「ジロジロ見んなや」

「むぅ、むかつく」


小声で反撃してみるが、悲しいことにふみの戦闘力はゼロである。ちっとも気に留めず、擦り傷ひとつ食らってない。

黒のタートルネックをお召しになってる千景くんが、ゆらりと首を傾げると、シルバーのロングピアスが微かに揺れた。

新しいピアスも増えたようで、軟骨にあるシンプルなデザインが施されたゴールドのピアスは、照明の下でキラキラと煌めく。

千景くんから一番遠い場所、隅っこの席に腰掛けた。