その日は、五月にしては少し肌寒くて、台風が来ているんじゃないかと思ってしまうほどの強い雨が降っていた。
あなたは傘がなくて、諦めた表情で雨を見つめながら下駄箱の前で立ち尽くしていたわ。
私が折り畳み傘を渡すと、少し驚いたよう顔をして、でも、嬉しそうに笑ってくれたの。
好きだからとか、気になってたから助けたわけじゃない。
ただたんに困ってそうだから声をかけただけ。
でもね、その瞬間、私の中で何かが弾けた気がしたの。
次の日から、私はあなたの事を意識するようになった。
大人しそうに見えて、実は口を大きくして笑うことがあったり。
お弁当に好きなおかずが入っていたら、その日はずっと口角が上がっていたり。
くしゃみを我慢する時は斜め下を向いて目を閉じたり。
あなたの新しい一面を見つける度に、どんどんあなたのことが好きで好きでたまらなくなる。
「傘ありがとう、助かった」って言いながら微笑んでくれたよね。
私、あれからあの傘使えてないの。
だって、あなたの指紋がついているんだもの、大切に保管してるわ。
最初は驚いて、少し怖かったの。
私は生涯人を愛すことを知らないと思っていたから。
こんな気持になるのは初めてだから。
初めてだから、拒絶されたらどうしようって、思ってたから。
……でも、それ以上にあなたのことが好きで、大好きで、そんな事、どうでも良くなった。
愛してるの、誰よりも。
私はあなたの行動を全て把握したいの。
あなたの可愛いところも、
かっこいいところも、
ドジなところも、
やんちゃなところも、
私だけが知っていればそれでいいの。
誰にも取られたくないの。
だってね、私以外の人と笑って話をしているところを見ると、悲しくなるの。
苦しくなるの。
私以外見ないで、私だけ見てて、私だけに笑いかけてって、思っちゃうの。
……だからね、気持ちを伝えたの。
初めての事だったから、とっても緊張したんだよ?
放課後の、誰もいない二人きりの教室。
「あなたが好きです。付き合ってください」
悩みに悩んだ結果、何の変哲もないこの言葉、シチュエーション。
インパクトのある告白にしよう、とか、もっとおしゃれな雰囲気をつくりたいなって思ってたけど、結局これしか思いつかなかった。
でもいいの。
あなたなら、この言葉だけでも私の愛を受け取ってくれると思ったから。
それに、私、聞いたことがあるの。
あなたはすごく凝った告白よりも、ストレートに気持ちを伝えられる方が嬉しいって。
……なのに。
「ごめんね、俺、彼女いるし……それに、君はタイプじゃない……っていうか……」
あなたは傘がなくて、諦めた表情で雨を見つめながら下駄箱の前で立ち尽くしていたわ。
私が折り畳み傘を渡すと、少し驚いたよう顔をして、でも、嬉しそうに笑ってくれたの。
好きだからとか、気になってたから助けたわけじゃない。
ただたんに困ってそうだから声をかけただけ。
でもね、その瞬間、私の中で何かが弾けた気がしたの。
次の日から、私はあなたの事を意識するようになった。
大人しそうに見えて、実は口を大きくして笑うことがあったり。
お弁当に好きなおかずが入っていたら、その日はずっと口角が上がっていたり。
くしゃみを我慢する時は斜め下を向いて目を閉じたり。
あなたの新しい一面を見つける度に、どんどんあなたのことが好きで好きでたまらなくなる。
「傘ありがとう、助かった」って言いながら微笑んでくれたよね。
私、あれからあの傘使えてないの。
だって、あなたの指紋がついているんだもの、大切に保管してるわ。
最初は驚いて、少し怖かったの。
私は生涯人を愛すことを知らないと思っていたから。
こんな気持になるのは初めてだから。
初めてだから、拒絶されたらどうしようって、思ってたから。
……でも、それ以上にあなたのことが好きで、大好きで、そんな事、どうでも良くなった。
愛してるの、誰よりも。
私はあなたの行動を全て把握したいの。
あなたの可愛いところも、
かっこいいところも、
ドジなところも、
やんちゃなところも、
私だけが知っていればそれでいいの。
誰にも取られたくないの。
だってね、私以外の人と笑って話をしているところを見ると、悲しくなるの。
苦しくなるの。
私以外見ないで、私だけ見てて、私だけに笑いかけてって、思っちゃうの。
……だからね、気持ちを伝えたの。
初めての事だったから、とっても緊張したんだよ?
放課後の、誰もいない二人きりの教室。
「あなたが好きです。付き合ってください」
悩みに悩んだ結果、何の変哲もないこの言葉、シチュエーション。
インパクトのある告白にしよう、とか、もっとおしゃれな雰囲気をつくりたいなって思ってたけど、結局これしか思いつかなかった。
でもいいの。
あなたなら、この言葉だけでも私の愛を受け取ってくれると思ったから。
それに、私、聞いたことがあるの。
あなたはすごく凝った告白よりも、ストレートに気持ちを伝えられる方が嬉しいって。
……なのに。
「ごめんね、俺、彼女いるし……それに、君はタイプじゃない……っていうか……」



