「俺も聞く。お前は誰だ。」

はるは一体何者なのか。

俺にもわからない。

私生活のことは殆ど話さないし、過去のことは話したことがない気がする。

俺たちは知らないのだ。お互いのことを。

「私は、ヘビ座yellowよしかわはる。」

なんて答えるかドキドキしていたが、
めっちゃ普通に自分の名前をいった。

「登録名は、、なんだ」

ヘビ座キングもオドオドし始めた。
正体のわからない仲間が怖いのだろう。

「ヘビ座の登録名は、はる」

ヘビ座の、、?
どうして、ヘビ座のがいるのか、。

それはすぐに判明する。

「コブラ座の登録名は紗矢だ。」

場が一瞬止まった気がした。

「は?」
全員が驚きで目を見開いていた。

「お前が紗矢な訳がない。」

「どうして言い切れるのですか。」
ただ鎌をかけただけだ。

この話し方、仕草、雰囲気全てが紗矢のものだから。

でも、騙されたくなくて、嘘をついた。

急にはるが自分の髪を掴んで。

一旦離して、俺の方に近寄って来た。

「翔先輩。久しぶりですね。」
そう言ってもう一度自分の髪を掴んだ。

そして引っ張りあげたのだ。

どういうことだ。
ズルっ、

カツラが取れた。
見えた髪は金髪ボブ。紗矢だ。

いつもしていた髪型ではなかったが、紗矢だと俺はわかった。

制服の中に着ていた服も全て紗矢のものだった。

全員がもう、固まっていた。

全てが紗矢のものだった。

茉奈が叫んだ。
「はる。まだ証拠がない。イヤーカフを出して!出して!」

「落ち着いてよ。愛歌。」

「なんで、、。紗矢。」

私はポケットからイヤーカフを取り出して、耳につけた。そして、もう一つ。
クイーンと書かれたイヤーカフを耳にはめた。

誰も何も話さない。

沈黙を破ったのは茉奈だった。
「紗矢。なんで。あの日のこと、忘れたの。戻って来ちゃダメだよ。もう、しないって言ったのに。」

「無線をずっと聞いてたの。
ごめんなさい、先に謝る。ちょっと乗っ取ってね。負けるかもって、そしたらもう翔先輩には会えなくなっちゃうからさ。それは嫌だったし。愛歌に何かあったらって思って、。
もうしないって言ったのに。ごめんね。」

「紗矢なのか。ほんとに、、。」

「(ウォー)」

突然キングが襲ってきた。
何だかわからなくて、一瞬戸惑ったが。

蹴りを2発腹に入れると地面にへばりついていた。

トドメで上からジャンプしてろっ骨をイカせといた。

もうしないと誓ったのに。

何で人の骨折っちゃうの自分って思いながら。

戦いは形勢逆転。

コブラ座が圧勝した。

全員が地面にへばりついているあいだにアジトへと帰った。

古くて小さい家。私達コブラ座の基地だ。

翔先輩の祖父母が暮らしていた部屋らしい。もう使うことはないと貸してくれている。

翔先輩は1人残って後始末。

私達は先に帰って来た。

「おかえりなさい。おめでとう御座います。」

年下であろう男の子達が愛歌達幹部に話している。

そして後ろにいる私を見てキョトンとした顔をしていた。

小さい声で話しかけて来た。

正確に言うと怯えた声で。

「あのっ。ヘビ座ですか、、。あなたは、、、。どういうことですか。」

今更隠す必要などない。

そのままを伝えた。

「私は、吉川春。紗矢だよ。」

全員が口を開けたまま動かない。

意外にもその人達が見せたのは笑顔だった。

「おかえりなさい。ずっとみんな待ってましたよ。」

私も笑顔で言った。

「ただいま。待たせてごめんね。」

私達は玄関で抱き合っていた。