「それじゃあ、よろしくね」


鮎川くんと別れた後、地図を頼りに氷乃瀬くんの家に向かう。


目印になりそうな建物や看板等のポイントを押さえてくれていて凄く分かりやすいイラスト。


おかげで迷うことなく氷乃瀬くんの住んでいるマンションの前まで辿り着くことが出来た。


家の用事となると外出している可能性もあるから、まだ帰って来てないかもしれない。


留守だったら郵便受けに入れておけばいいよね。


そう思っていたのだけれど。


「あれ…?」


エントランスに入り、オートロック式ドアの近くに設置されている集合ポストを見た私は思わず首を傾げた。


鮎川くんから201号室と聞いていたけれど、該当のポストの表札が“氷乃瀬”ではなく“山原”となっているのだ。


そう言えば何号室に住んでいるかの話になった時、少し自信なさげだった気がする。


このマンションに来たことがあるのも2回ほどで、最後に来たのは小6の頃らしいし。


もしかしたら、誰か別の友達や知り合いの部屋と混同していたのかもしれない。


うーん、どうしよう。