「踏み出すキッカケと勇気をくれたのは友達なの」


片想いをしている幼なじみの男の子を振り向かせるために、告白しようと奮起する萌絵ちゃんの姿を見て、私も頑張りたいと思った。


心の中で想っているだけじゃ先輩に何も伝わらないし、両想いにはなれないから。


「好きの気持ちも“あの時言っておけば”とか“もっと早く言えば”って後悔する前に、ちゃんと言葉にして伝えたいと思ったんだ」


「それで直ぐに行動に移せるのって凄いよな」


「告白する前に失恋しちゃったけどね…。でも区切りをつけることが出来たし、結果的にはこれで良かったと思ってるよ」


「……そっか」


呟くように口にして、伏し目がちに歩く氷乃瀬くん。


真顔で何か考え込んでいるっぽい。


なんで俺は、こんなどうでもいい話をコイツとしてしまったんだろう…って冷静に振り返って後悔しているのかも。


本当は他人の恋バナとか微塵も興味ないだろうし。


「どうした?」


私の視線を察知したのか、氷乃瀬くんがこちらに顔を向けた。