「なんか、力になれなくてごめんね」


「俺の方こそ、今朝もう一度確認しておけばこんなことにはならなかったから。あっ!陽咲、ちょっとこっちに来て」


手招きする氷乃瀬くんについて行く。


サンドイッチ屋を通り過ぎて少し道を進むんだところに小さな広場が見えてきた。


「ここで待ってて」


「氷乃瀬くん!?」


呼び止める声に振り返ることなく、彼は近くの細い路地へと駆け足で入って行ってしまった。


どこに向かったんだろう。


お店が休みだったから今日はこれで現地解散…という流れだと思っていただけに戸惑いを隠せない。


よく分からないけど、とりあえず待っていればいっか。


それにしても高台の広場だけあって眺めが良いな…。


景色を見ながら暫く待っていると、両手に小さな紙袋を持った氷乃瀬くんが戻って来た。


「これ、今日のお礼」


受け取った紙袋を開ける。


中に入っていたのはホカホカの肉まんだった。