バレンタインから1週間以上が経った。


今日は学年末考査の最終日。


無事に全科目終了したことに安堵しながら帰り支度を始めた。


午前中で終わりだし、この後は市立図書館に寄って行こうかな。


カフェが併設されているから昼食も取ることが出来るし。


……とその前に、今日こそは氷乃瀬くんにお金を渡さなくては。


財布の中から硬貨を何枚か取り出した。


笹森先輩から助けてくれた後、私を心配して教室まで来てくれた氷乃瀬くんは管理棟の自販機で買ったホットココアをくれた。


あの時は気遣ってくれる優しさに感謝して受け取ったけれど…


帰宅した後、氷乃瀬くんの大切なお金を私のような友達でも何でもないただの同級生のために使わせてしまったことへの申し訳なさが募り、ココアの購入代金を返す結論に至ったのだ。


でも、これまでお昼休みや放課後に何度か氷乃瀬くんとの接触を試みてきたものの、教室に居なくて会うことが叶わず。


思いの外、苦戦を強いられている状況だ。