もしかして今日のカウンター当番も司書の先生も全員女性だからかな?


異性と接することが苦手だったら、自分から話しかけたりするっていうのはハードルが高そうだし。


私に本探しを頼んだのは、最近少しだけ会話したことがあった分、幾らか声を掛けやすかった…とかだろう。


「でも、今日出された課題をやっている最中だから」


「いいよ。終わるまで待ってる」


いやいや、そんなことしなくていいんですが。


諦めて去っていくと思っていただけに肩すかしを食らってしまった。


でも課題を終わらせるにはもう少し時間がかかるし、そのうちに待つのもダルくなって帰るだろう。


……と思っていたけれど。


「そのページの計算問題スラスラ解けるの凄いな」


「俺も分からない問題あるから教えて貰おうかな」


私が問題を解く様子をずっと眺めながらあれこれと話しかけてくる氷乃瀬くん。


おかげで全然集中出来ない。


こうなったら課題は後回しにして、先に本探しを手伝った方が良さそう。


教科書とノートを閉じた私はゆっくりと立ち上がった。