「それじゃあ、キリがいいから今日はここまで。次回は小テストやるから復習しておくように」


先生が出ていくと教室が明るく賑やかな空間へと変わる。


「お腹空いた~」


「新発売のコンビニスイーツ買ってきたから食後のデザートで一緒に食べよ!」


楽しそうな声が飛び交うお昼休み。


私、陽咲 栞も心待ちにしていた時間だ。


早く行かなくちゃ。


スクバから財布とお弁当を取り出そうとしていると、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきて…


「栞ちゃん、ごめん!」


声の方に顔を向けると、友達の菊嶌 萌絵(きくしま もえ)ちゃんが気まずそうな表情をしながら立っていた。


「吹奏楽部のミーティングが急遽入っちゃって部室で昼食とることになったの。一緒に食べる約束してたのに本当にごめんね」


「ううん、気にしないで?ミーティング頑張ってね」


「ありがとう!明日は一緒に食べようね」


急いで教室を出ていく萌絵ちゃんを見送った後、私はお弁当を机の上にのせる。


お昼は自分の席で食べることになったし、とりあえず管理棟に向かおう。


私は財布を手に教室を出た。