春待つ彼のシュガーアプローチ

「氷乃瀬くんをもっと知ってから告白の返事をしたいって言ったでしょ?まだ答えを出せるほどの時間を共有していないのに、途中でやめたりなんかしないから」


真剣に好きだと伝えてくれた氷乃瀬くんに、私も誠実でありたい。


「私に対する女の子たちの言動は関係ない。私は氷乃瀬くん自身と真摯に向き合って結論を出したいの」


その瞬間、氷乃瀬くんにギュッと抱き締められる。


「……ありがとう」


呟いた声は、ほんの少し震えていた。


きっと、私が“やめたい”って言い出すんじゃないかって不安になっていたんだ…。


氷乃瀬くんの背中に手を回そうとしたけれど、教室の前を通りすぎていく生徒たちの喋り声にハッと動作を止めた。


私ってば公共の場所で何をしようとしてるの!?


「氷乃瀬くん、SHR始まるから早く教室に戻ろう?」


「あと1分でいいから、このままで居させて」


この体勢を継続するのは心臓への刺激が強い。


でも1分だけじゃなくて、もうちょっと長くてもいい…っていう気持ちが心の奥で顔を覗かせている。


そんな思いを抱くということは、少しずつ惹かれ始めているのかな……氷乃瀬くんに。