休日は待ち合わせやお喋りを楽しむ人たちで賑わう広場も、平日の夕方はあまり人がいない。
薄暗くなってきたからか、コンクリートのベンチは間接照明が灯っていた。
まず最初に謝りたい。
ベンチに腰掛けた氷乃瀬くんを見つめながら、大きく息を吸い込む。
「あの、告白してくれた時に話をはぐらかして逃げてしまうような最低な態度をとってしまって、ごめんなさい」
私は立ったまま深く頭を下げた。
「いや、元はと言えば…あれは俺のせいだろ?陽咲を困惑させるって分かってたはずなのに。俺の方こそ本当にごめん」
もちろん不意に重ねられた唇には驚いたけど、だからと言って真剣に気持ちを伝えてくれた人から背を向けて立ち去っていいわけない。
どう考えても酷いのは私だ。
「氷乃瀬くん」
「何?」
「キスも告白も“好き”っていう気持ちが嘘じゃないなら謝らなくていいから…」
そんな風に返されると思っていなかったのか、彼は目を見開いた後に“分かった”と言って小さく頷いた。
「えっと、話したいことは他にもあるの」
「……分かってる」
少しぎこちない声。
私は氷乃瀬くんの隣に腰を下ろした。


