「そんなことがあったの!?大変だったね...」
翌日。
萌絵ちゃんと一緒に中庭でお昼ご飯を食べた後、昨日の出来事をおおまかに説明。
すると苦笑いしながら労いの言葉をかけてくれた。
「身を隠してるとか言ってたから、友達と校内でかくれんぼして遊んでたんじゃないかな」
「それで眠くなっちゃったわけか。私もカウンター当番の時にウトウトしてる生徒を見かけたことあるけど、勉強中か読書中に睡魔が襲って…みたいな感じだから、そのパターンは初めて聞いたかも」
「だよね…」
うたた寝どころかぐっすり寝てたし。
今まで見たことないよ、あんな生徒。
「ちなみに、どんな感じの人?」
「背が高くて髪はゆるくウェーブかけてた。そうそう、ミルクティーみたいな髪色で……」
容姿を思い出していた時、萌絵ちゃんの表情に驚きの色が溢れ始めた。
「ちょ、ちょっと待って!その人、スクバじゃなくて黒いリュックだった?」
「うん」
「それからグレーのマフラー巻いてなかった?」
「そういえば帰る時に巻いてたような…」
「あと、結構カッコいい?」
「整った顔立ちしてるなとは思った」
それを聞いた萌絵ちゃんは前のめりになったかと思うと、私の肩をガシッと掴んだ。


