春待つ彼のシュガーアプローチ


考え事をしていると時間があっという間に溶けてしまう。


私一人だった教室も、気付けば登校して来た生徒たちで賑やかになっていた。


「栞ちゃん、おはよ!」


「おはよう、萌絵ちゃん!今朝は部活お休み?」


「うん。朝練がないから少しゆっくり寝れる~と思っていたら久々に寝坊しちゃった。なんとか間に合って良かった」


恥ずかしそうな表情で、ちょこっとだけ舌を出す萌絵ちゃんが可愛くて思わず笑みが零れてしまった。


「あれ?氷乃瀬くん、今日はまだ来てないんだね」


「えっ!?あ、うん…」


その名前を聞いただけでビクッと肩が跳ねる。


ゆっくりと振り向いて後ろの席を見つめた。


もしかして、私があんな酷い態度をとったから顔を合わせるのも嫌で欠席しようと…。


そりゃ嫌悪感を抱くのも当然だよね。


「栞ちゃん、何かあった?」


「私!?」


「何だか浮かない顔してるから..」


「ちょっと考え事してただけ。何もないから大丈夫だよ」


焦って作り笑顔で誤魔化したところで予鈴が鳴り響き、萌絵ちゃんは自分の席に戻って行った。