「ここで何してんだよ。まさか俺を待ち伏せていたとか?」


「は?そうじゃなくて捜してたの!」


不審そうな表情をしている彼の目の前に、私はキーケースを差し出した。


「これ、あなたの持ち物…だよね?さっきのソファーの上に落ちてた」


「確かに俺のキーケースだけど、なんでわざわざ追いかけてきたわけ?落とし物なら職員室に届けた方がアンタも楽だったのに」


「今なら、追いかければ直接手渡せるかもって思ったの。これが無かったら家に入れないかもしれないし、探すために学校まで引き返して来ることになったら大変でしょ」


「……ふーん」


薄い反応。


きっと、ウザイとか思ってるんだろうな。


早いところ図書館に戻ろう。


「それじゃあ、私はこれで」


ほぼ無表情な彼にキーケースを渡して、校舎へと走りだした。


無事に渡せて良かったけど凄く疲れた。


もう関わりたくないな、あの人と。