春待つ彼のシュガーアプローチ


「陽咲、傘がないなら家まで送ろうか?俺、折りたたみのやつ持ってるから」


「平気。これぐらいの雨なら走って帰れるし」


「だけど、途中で雨足が強くなってずぶ濡れになるかもしれないじゃん。終業式の時みたく熱が出たりしたら大変だろ?」


「えっ、どうしてそれを……」


「あの日の帰り、陽咲に会うために2組の教室に寄ったんだけど、姿が見えなかったからクラスのヤツから事情を聞いた」


「私に…?」


クラスの男子に用事があって来たとかではなくて?


「春休み前に顔を見たかったんだ。コンビニにプリントを届けてくれた日以降、話も全然出来ていなかったし」


ああ、なるほど。
いわゆる生存確認的なことね。


それじゃあ...もし学校に行っていたら、転校が勘違いだということも、その時点で判明していたんだろうな。


そんなことを考えているうちに、氷乃瀬くんは折りたたみ傘をひろげて、その中に私を引き寄せた。


「困った時はお互い様って言うだろ?」


頑なに遠慮したとしても、引き下がる雰囲気は無さそう。


私は申し訳なく感じながらも、氷乃瀬くんに送ってもらうことにした。