春待つ彼のシュガーアプローチ


ゆったりとランチタイムを過ごした後。


他のエリアも案内しようかと思ったけれど、雲行きが怪しくなってきていたこともあり、私たちは駅前に戻って来た。


「陽咲、今日は楽しかった。ありがとう」


「どういたしまして。満足して貰えたなら良かった」


バス停のところでお別れをしていた時。
突然、頬に冷たいものがあたった。


「雨……?」


見上げると空一面が灰色の雲に覆われていて、今朝が雲一つない晴天だったなんて信じられないような空模様に変わっていた。


予報よりも早く降ってきたな。


折りたたみ傘を出そうとスクバに手を突っ込んだ私だけれど、程なくして“あれ?”という声を口にしてしまった。


おかしいな、傘が見当たらない。


学校の日は、スクバに入れておくんだけど…。


あっ、思い出した。


遡ること数日前。


お母さんと二人で久しぶりにお店でランチを楽しんでいた時、急遽そのまま出社することになって…


夕方から雨予報なのに傘を持ってないっていうから渡したんだった。