無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。



「……ゴホッ!!」


 咳き込んだ拍子に口からビシャッとしょっぱいものが出て、とっさに吸い込んだ酸素がうまく取り込めずにカヒュッと喉が鳴る。
 

「聡太くん!!」


 背中に感じる硬いアスファルト、肌に張り付く濡れた服、頬を撫でる乾いた風。
 陸だ。
 助かったのか、俺……。
 ひとしきり出し切ってうっすらと目を開けると、ナギオがいた。
 いつもの能面からは考えられないほど心配そうに顔を歪めたナギオが。

「聡太くん……!」

 ナギオの黒髪からポタリと水滴が頬に落ちて、さっき見た映像の黒髪と重なって、胸が疼いた。


「聡太くん、大丈夫ですか?僕のことわかりますか!?」

 喋れなくてもなんとか頷いてみせると、俺の無事を確信して安堵したのか、

「よかった……!」

 眉を下げて、目を細めて、ふにゃりと笑った。

 俺は、初めてナギオの笑顔を見た。


「……」


 胸がギュッとなった。


 は?

 可愛い。


 思わず手を伸ばして、その頬に触れる。


「……?」


 フニャ笑顔をやめ首を傾げながら甘んじて俺を受け入れるナギオ。

 その全部から目が離せない。



 ……なんだ、これ。

 なんだよお前、さっきの顔。


「……やば」


 なんか、すげぇ胸が疼く。