「僕の夢は総理大臣になることなんだ」
クニタが生ビールに口づけた
カウンターバーの向かいカシスが答える
「素敵な夢ですわ。クニタさんならきっと」
半分飲み干したビール、落ちついた泡を見つめる国太
「カシスさん」
視線を交わし、微笑むママ
「価値ある増税を成し遂げたいんだ」
「価値ある増税?」
「うん、カシスさん」
「減税ではなくて」
死んだ泡を揺るがす
「減税が本当に得策なのか、、その時国民は喜ぶだろう。しかし、、」
「その先・・」
「ああ、カシスさん。そう、その先。それが幸を齎す事なのか」
「クニタさん」
「幸せを運ぶ増税なら」
「以前にクニタさん、結婚祝儀金の事、語ってらっしゃって」
「ああ、1%の消費税で2.4兆円。新婚夫婦に約500万円の祝儀」
「国から」
まっすぐクニタを見下ろすママに
「うん、カシスさん。それ以外にも1%の増税で。ああ消費税。国全体で投資をする」
「国として投資」
「内容を明確にする、還元する、利益を、国民に」
「大丈夫かしら、危険な雰囲気もあるわ」
「あはは、例えばですよ、カシスさん」
潤う増税
ナッツを手に掴んで優しく微笑む男だった
「何か飲みます」
泡は消えていた
「ああ、そうですね。なにか、、、ああ、カンパリさん、何かお願いできますか」
酔っ払っちゃった
「じゃあ、ビシクレッタを」
「どんなお酒ですか」
「カンパリと白ワインで作ります。少しソーダも。レモンピール」
「ありがとう」
姉が妹へ
「じゃあカンパリ、お願いね」
声を掛けた
「カシスさんも少し飲まれてはどうですか」
「ありがとうクニタさん、では少し」
ママがカシスを手に、グラスを手に、妹に近寄る
微笑みながら彼の前に戻り浅めに腰掛ける
「キールですわ。カシスと白ワインで」
「ビシクレッタです」
「ありがとう。カンパリさん」
2つのグラスが音を奏でる
カンパリさんもいかがですか
いえ、私は・・
クニタさん、カンパリは
よかったら一緒に
私は作るだけでお酒は
いろいろあってね
そうですか、勿論無理にとは、すいません
家でしか飲まないのです
うん、いいのよ、カンパリ
家では飲まれるのですか
はい
うん
そうですか
火傷の痕が
いいのよ、カンパリ
や
け
ど
「あの、クニタさんには無理だと思います」
「えっ」
「何言ってるのカンパリ、失礼じゃない」
「総理大臣が夢だなんて」
「カンパリさんどうして」
「どうしたの、カンパリ」
「豊かに育ってぬくぬく愛されて政治家になって」
「そんな僕は・・」
「カンパリやめなさい、この子、、少し」
「絶望を知らない」
「いや、カンパリさん。僕もここまで来るまで大変な努力をして」
「そうよ、カンパリ。政治家さんになるなんて並大抵の苦労じゃないわよ」
「勿論努力も必要だと思うわ。苦労も。でも失望。本当の絶望の底に落ちた人間にしか世の中を幸せになんかできやしない。目指す先が総理大臣だなんて、結局地位や名誉をどこかで求めている」
「いや、僕は本当に日本を愛の国に」
「国太さんは立派な方よ」
「立派なお方には本当の導きはできないと言っているの」
「カンパリさん」
「カンパリ・・」
「本当の愛のリーダーになれる資格があるのは、底の底にある人間。絶望の淵に潜んでいる人間こそが相応しい」
「どういう事だ」
「カンパリ・・」
「でも世間は底の底にある人間は認めないし、引き上げることはしない。見下ろし駄目のレッテルを貼り付ける。真実はそのレッテルこそが、貼り付けられたレッテルこそ」
「・・」
「・・・・」
「愛のリーダーへの経験、、資質・・・・見下され、屈辱のレッテル。それを知る人間だけが導ける」
「そんなでも」
「評価はされないわね、そういう人は」
「姉さん」
「カシスさん」
絶望が心の心を育む
立ちなさい、
火傷痕に奪われた居心地
、カンパリ
FIRST LADYの誤訳を燃やし尽くしなさい
傷は星に、、見るんだ
{uWe5YGEx56E}
なんだか
ハミルさん
はいはい
酔っぱらっちゃた
いいです、いいです
今日の稽古です
はいはい
傷は星に、、見るんだ
屑は星に変わる



