最期の言霊


俺は泣きながらいつの間にか眠りに落ちていた。

目が覚めると朝になっていて、看護士さんが「植田さーん、明けましておめでとうございます。」と言いながら、検温と血圧をはかりにやって来たのだが、俺の顔を見るなり、看護士さんは驚いていた。

えっ?何?
と思っていると、自分でもあることに気がついた。

身体が痛くない。
腹水が溜まって重たかったお腹も凹んでいる。
そして、黄疸も消えていたのだ。

看護士さんは驚きのあまり検温と血圧もはからず、「先生呼んできますね!」と慌てて病室を出て行った。

そのあと、俺はまた色んな検査を受けさせられた。

すると、鎌田先生の口から信じられない言葉が出てきたのだ。

「検査した結果、がん細胞が全て消えていました。僕も信じられないんだけど、、、こんなこと初めてだ。」

先生の言葉に俺は、何も言えなかった。
そして、喜んで良いのかも分からなかった。

これは、絶対楓の言霊のおかげだ、、、

俺は泣けてきた。

先生は俺が嬉しくて泣いていると思い「良かったなぁ!」と言ってくれたが、違う、そうじゃない。

楓から命をもらって俺は生きているんだ。
俺は情けなくて、悲しくて、寂しくて、色んな感情が混ざり合い泣いていた。