翌日。

「修内太」

教室。

机に突っ伏して寝ていた俺は、後頭部をメグにはたかれて目を覚ます。

「んぁ…?」

口元にだらしなく涎を垂らしたまま、俺は薄目を開けて傍らの魔女を見上げた。

「メグ…?」

「あーあー、だらしない顔しちゃって…どうしたのよ、睡眠不足になるほどの修練は積ませていないつもりだけど?」

呆れた顔で、メグは長い黒髪を片手で払った。

…確かに。

現在もメグを師と仰ぎ、魔術の修練は続けている。

現在は魔力の最大値を上げる修練。

と言ってもこれは主にメグの調合した薬品や薬草を毎日少しずつ飲むだけの事で、体力的には何も消耗しない。

疲労を伴うようなものではない筈なのだ。

「最近夜中によく目が覚めちゃってさ…魔術の修練と何か関係あるのかな…」

机にうつ伏せになったまま、俺はメグに尋ね。

「ないわね」

メグはキッパリと即答した。