それから開会式が行われた。
競技が始まるまで時間があるので、クラスの子の応援に行ったりすることに。
外はかなり日差しが強いから、体育館に人が集中してる。
「凛花ちゃん。わたし飲み物買ってくるね」
「はいはーい。ここで待ってるね!」
外の自販機に向かう途中、呑気にぼーっと歩いていたら、校舎の陰からいきなり腕をつかまれて、人目のつかない裏側に連れていかれた。
そのまま身体を壁に押さえつけられて、逃げ場なし。
誰がこんなことをしたかって――。
「み、深影くん......! 急にどうしたの」
「ん? 可愛い子が歩いてたから、つかまえちゃった」
「か、可愛い子?」
「そこ疑問に思うんだ? 柑菜しかいないのに」
「わ、わたし⁉︎」
「......ってかさ、今日なんでこんな可愛いの」
「えっ?」
「髪型いつもと違うし、リップも色変えた?」
深影くんの指が、そっとわたしの唇に触れる。
リップの色に気づいたのはびっくり。
いつもよりほんの少しだけ明るい色にしただけだから。

