「......ん」

まぶしい日差しが目元にあたり、目が覚めた。


あれ、もう朝......?

ゆっくり目を開けると、ここは間違いなくわたしの部屋だ。


しかも、ちゃんとベッドの上で寝てる。


えっ、わたし昨日の夜、どうやって帰ってきた......?



たしか、図書室でうたた寝しちゃって、気づいたら日付が変わっていて。

それで、 寮の裏口から帰ろうとしたら、途中で男の子に会って......それからどうなったんだっけ。



目を閉じて思い出すのは、男の子の真っ黒な瞳がじっとわたしを見つめて......お互いの吐息が絡むくらいの距離感で......。


「唇なんか変な感じする......」


そう、キスしてた......みたいな。


熱のせいもあって、記憶がぼんやりとしか残ってない。


まさか、顔も名前も知らない相手とキスした......なんてありえる?


風邪気味だったから、ちょっと記憶が混乱してる?