「さて、じゃあそろそろ本題に入ろうかな。柑菜はさ、最近俺と会ったこと覚えてる?」
「お、覚えてない......です」
「嘘はよくないなぁ......あんなキスしたのに」
「っ......⁉︎」
「ほら、やっぱり覚えてた」
う、うそ。あれやっぱり夢じゃなかったの......⁉︎
しかも、その相手が綺堂先輩だったなんて。
「あ、あのとき、わたし熱があって記憶がかなり曖昧で。だから、ぜんぶ夢だと思って」
「忘れちゃったの、俺とのキス」
綺堂先輩がにこっと笑いながら、立ちあがってわたしの隣に座った。
「あんなお互い求めてたのに?」
スッとわたしの頬に触れて、指先で軽く唇をなぞってくる。
たったこれだけで、曖昧だったはずの記憶が、ぶわっと呼び覚まされて......頬のあたりが熱くなる。

