クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。



すると、首元が一瞬ヒヤッとした。

少し下に目線を落とすと、ローズゴールドのきらびやかなネックレスが。


「こ、これは?」

「俺の大切な人――母さんが身につけてたもの」


昔を思い出すように、少し苦しそうに絞り出された声を聞くと、胸がギュッと締め付けられる。


それに、わずかだけど深影くんの手が震えてる。


「お母さんは、今......その」

「俺が幼いころ病気で亡くなった。だから、それは母さんの形見みたいなもの」


「そ、そんな大事なものをわたしに......?」


「柑菜だから身につけてほしい」


なんでわたし......なんだろう?

聞いていいのか、わからない。



深影くんの過去には、あまり深く触れたことがないから、わたしがそこまで踏み込んでいいのか――。