――迎えた夜、いつもならちゃんと起きてる時間なのに。
「わわっ、もうこんな時間......!」
うとうとしてたら、時刻は夜の十一時四十分。
急いで深影くんの部屋に薬を持っていかないと......!
もたもたしてたら、日付を超えるまであと五分。
「柑菜さー、来るの遅いよ」
「うぅ、ごめんなさい......」
「それともさ......俺に襲われたくて、わざとこんな時間に来た?」
危険な甘いささやき。
ほんの少しだけ深影くんの瞳が熱っぽく見えたのは、薬を
飲んでないから? それとも――。
「......俺と甘いことしたかったとか」
「っ、ちがう......けど」
「......けど?」
「み、深影くんに――やっぱり言わない......!」
薬をベッドのそばのテーブルに置いて、部屋を出ようとした......けど。

