「どんなことをするのですか?何を話し合うんでしょうか」

お父さんが小西先生に尋ねた。だが、小西先生は、その内容を教えてはくれなかった。


「このカウンセリングは、例え未成年の保護者の方でも、その内容はお教えしかねます。なぜなら、内容を明かすと、治療そのものが困難になるからです」


そんなことってあるんだろうか。両親にさえ秘密だなんて。

「私を信じてください。あと、美里さんの場合、あまり悠長にもしていられません。美里さんの症状は、危険な局面にさしかかっているのです」


小西先生の言葉に、葛西先生も黙ったまま頷いてみせた。

その様子から、葛西先生も事情を知っていることが分かった。


「先生、娘を、お願いします」

お父さんはそう言って深々と頭を下げた。

お母さんもお願いします、といってお父さんに続いた。


「治療が終わったら、すべて説明します。それまでは私を信じてください」




こうして、私は小西先生のカウンセリングを受けるため、ひとり別室へと呼ばれていった。



診察室に入った私と小西先生は、椅子に腰掛けて向かい合った。

そして、そのあと、小西先生の口から、信じられない言葉が飛び出した。



「気分はどうだい?佐藤真沙子さん?」


「えっ!?」

私の心の中に衝撃が走った。この人、知っている。