私は目の前に強い光を感じて目覚めた。


「眠ってたね、リラックスできたようだね」

葛西先生は私に優しく話し掛けてくれた。

「すべてに優先して君の検査結果の解析を行うから、もう少し待ってね」


私が心臓病だから?それとも何か別の病気の疑いでもあるのだろうか?

私は不安になった。その理由は葛西先生の表情だ。

手術の直前でも堂々としていた先生が、何やら慌てていて、落ち着きがない。



何かある。



そしてその予感はその後、正しかったことが証明された。


「片桐さん、今、ご両親をお呼びしたから、来られるまでここで待っていてくれるかな」

葛西先生は、その後の外来患者の診察を取り止めて、私の病状について説明をしてくれることになった。

「先生、私、どうなったのですか?」

葛西先生は私の目を見据えて答えた。

「私の専門外のアクシデントが起きた。今はそれしか言えない。まもなく、その症例に詳しい先生が来るから、説明はその時に」



まもなくお母さんが、そして一時間ほどしてお父さんが病院に到着し、診察室に入ってきた。

そして皆が緊張とえもいわれぬ不安で押し黙っている中、一人の白衣の男性が入室してきた。


葛西先生が立ち上がって挨拶した。おそらくこの人が、私の症例に詳しい先生なのだろう。

随分と若い。まだ30歳になるかならないか、といった感じだ。

私はその先生を見て不思議な違和感を覚えた。

この人どこかで会ったことあるような気がする。