「着きました」
言われなくても分かる。懐かしい、我が家。
「かなりちらかってて恥ずかしいんですが、どうぞ」
うわあっ!ホントにちらかってる!
ちょっとは片付けようよ!おかしいなあ、職場ではまめに掃除も洗濯もする人なのに。
私は洗濯物とかで散らかった部屋を抜けて、仏壇のある部屋に入った。
仏壇には私の、佐藤真沙子の遺影。
とても妙な感覚に襲われながら、私は自分の仏前に線香をあげた。
「今日は本当にありがとうございました」
佳祐が私に深々とお辞儀をした。
「こちらこそ。それじゃ、お体お大事に」
私もお辞儀をして、玄関を出ようとした。
「ママー!どこ行くの?」
祐太が慌てて走ってきた。目には涙が浮かんでいた。
「またどこか行くん?」
祐太。かわいそうな祐太。私は祐太を抱き上げた。祐太は小さな柔らかい手で、ギュッと私の腕を掴んだ。ビックリするほど強い力だった。
祐太、もう離したくない。
「よい子にしててね祐太、ママはまたすぐ帰って来るから」
私は祐太をそっと床に下ろした。
「すみませんね」
「いいえ。じゃあ、ありがとうございました」
私はそう言って、ドアを後ろ手で閉めた。最後まですがるような目で見つめていた祐太を中に残して。
私は駅までの道をとぼとぼと歩いた。佳祐は車で送ってくれると言ってくれたが、家が分かると正直いろいろとやっかいなので断った。
実際駅にもさほど遠くない。
私はよく知っている裏道を通りながら、駅に向かった。
手を伸ばせば、いつもの幸せはまだそこにある。
なのに、私に、君の手を握り、未来を共にする資格はない。
祐太…佳祐…。
私は周りの目も気にせず、泣きながら帰りの電車に乗った。
「あら美里、ずいぶん雰囲気変わったわねえ。見違えるほどかわいくなったわ」
お母さんは帰宅した私を見て、私を褒めちぎった。
元気づけようとしたのだろうか、ものすごく大げさなリアクションだ。
まあ、実際、佳祐の腕のおかげでめちゃかわいくなってるけどね。
言われなくても分かる。懐かしい、我が家。
「かなりちらかってて恥ずかしいんですが、どうぞ」
うわあっ!ホントにちらかってる!
ちょっとは片付けようよ!おかしいなあ、職場ではまめに掃除も洗濯もする人なのに。
私は洗濯物とかで散らかった部屋を抜けて、仏壇のある部屋に入った。
仏壇には私の、佐藤真沙子の遺影。
とても妙な感覚に襲われながら、私は自分の仏前に線香をあげた。
「今日は本当にありがとうございました」
佳祐が私に深々とお辞儀をした。
「こちらこそ。それじゃ、お体お大事に」
私もお辞儀をして、玄関を出ようとした。
「ママー!どこ行くの?」
祐太が慌てて走ってきた。目には涙が浮かんでいた。
「またどこか行くん?」
祐太。かわいそうな祐太。私は祐太を抱き上げた。祐太は小さな柔らかい手で、ギュッと私の腕を掴んだ。ビックリするほど強い力だった。
祐太、もう離したくない。
「よい子にしててね祐太、ママはまたすぐ帰って来るから」
私は祐太をそっと床に下ろした。
「すみませんね」
「いいえ。じゃあ、ありがとうございました」
私はそう言って、ドアを後ろ手で閉めた。最後まですがるような目で見つめていた祐太を中に残して。
私は駅までの道をとぼとぼと歩いた。佳祐は車で送ってくれると言ってくれたが、家が分かると正直いろいろとやっかいなので断った。
実際駅にもさほど遠くない。
私はよく知っている裏道を通りながら、駅に向かった。
手を伸ばせば、いつもの幸せはまだそこにある。
なのに、私に、君の手を握り、未来を共にする資格はない。
祐太…佳祐…。
私は周りの目も気にせず、泣きながら帰りの電車に乗った。
「あら美里、ずいぶん雰囲気変わったわねえ。見違えるほどかわいくなったわ」
お母さんは帰宅した私を見て、私を褒めちぎった。
元気づけようとしたのだろうか、ものすごく大げさなリアクションだ。
まあ、実際、佳祐の腕のおかげでめちゃかわいくなってるけどね。

