君の手を

私たちは再びバイクに乗り、来た道を景色を楽しみながら引き返した。



「あ、イノシシ!」

「うわっ!ホントだ!でけぇー!」



私は雅人から愛をもらっている。だけど今の私に、それを受け取る資格があるのだろうか。


ちょうど日が暮れる頃、私たちは私の家の前に到着した。

「ありがとう!今日は楽しかったよ!」

「おう!またあしたな!」

雅人はバイクで走り去る時、右手を振って私に別れを告げた。

その背中は少し寂しげだった。