私たちはその後、雅人の借りてきたDVDを一緒に見た。

雅人が借りて来たのは、
『パイレーツオブカリビアン』

「ジョニー・デップがいい味出してるんだぜ」

雅人はとにかく冒険活劇が大好きだ。

「映画には、やっぱりポップコーンだな」

単純発想!分かりやすいね!

雅人は映画鑑賞の間、とても明るく振る舞って、私を励ましてくれた。

私の心は今、満たされている。


なのに、常に感じるこの罪悪感は何なのだろう。



「じゃあ、またあしたな」
「うん」

お父さんの帰宅時間が近づき、雅人は帰っていった。
私の部屋と心に、雅人の残り香と温かい思いが広がる。

この幸福感は本当の私の気持ちだ。

だが、それと同時に私に同居する別の心。私の心は不安でどうにかなってしまいそうだ。

「そうだ…調べてみよう」

私はノートパソコンをあけて立ち上げた。お父さんがネットも出来るように設定してくれていた。


私の中で混乱しながらも、はっきりと残る謎の記憶。私はそれを文字にして、検索してみた。

これが私の、単なる記憶の混乱なら、それらは現実には存在しないだろう。

[美容院、トゥルース、佳祐、真沙子]



数件ヒットした。

私の鼓動が早鐘のように早く脈打った。

[美容院トゥルースホームページ]

私は吸い込まれるようにそのホームページに入った。


[ようこそトゥルースへ
こちらからも予約状況確認や予約が出来ます]

かわいい犬のキャラクターのほのぼのした感じのホームページ。

美容師の欄を見た私は、それが間違いでありますようにと、何度も読み返した。

[スタッフ。夫婦でやってます!

佐藤佳祐&真沙子]

「うそ…」

こんなことって…。

私はホームページの予約確認のフォームに入った。


[申し訳ございません。ただいま都合によりお休みさせていただいております]

休んでいる。どうしたのだろう。