何故だか涙が止まらない。
「あっ、気が付いたのね」
私のそばにはお母さんが丸椅子に座っていた。時計を見てみた。夜中の3時半。お母さんはずっと私のそばにいてくれたみたいだった。
私の中にあざやかに記憶が蘇った。
これは…誰の記憶?…誰の心…。
私が、私じゃなくなる。
「お母さん、怖いよ」
「どうしたの?怖い夢でもみたの?」
お母さんは私を優しく抱きしめてくれた。
早く朝になって。
朝が来れば、この恐ろしい感覚が、ただの錯覚だったと胸を撫で下ろすに違いない。
突然私の中に現れた『心』
それは何かを思い出しただけではない。
その『心』は私の『心』を追い出そうとしている。
私を心配してくれている両親、愛し合っているはずの雅人。
そんな私の大切な気持ちそのものを、侵入してきた別の『心』が壊していく。
この感覚さえもいつまで続けられるのだろう。
私は悪魔の呪文から逃れようと、必死に朝を待った。
朝が訪れた。その日から私は、誰のものかわからない記憶と心を、自分の中に同居させることとなった。
「あっ、気が付いたのね」
私のそばにはお母さんが丸椅子に座っていた。時計を見てみた。夜中の3時半。お母さんはずっと私のそばにいてくれたみたいだった。
私の中にあざやかに記憶が蘇った。
これは…誰の記憶?…誰の心…。
私が、私じゃなくなる。
「お母さん、怖いよ」
「どうしたの?怖い夢でもみたの?」
お母さんは私を優しく抱きしめてくれた。
早く朝になって。
朝が来れば、この恐ろしい感覚が、ただの錯覚だったと胸を撫で下ろすに違いない。
突然私の中に現れた『心』
それは何かを思い出しただけではない。
その『心』は私の『心』を追い出そうとしている。
私を心配してくれている両親、愛し合っているはずの雅人。
そんな私の大切な気持ちそのものを、侵入してきた別の『心』が壊していく。
この感覚さえもいつまで続けられるのだろう。
私は悪魔の呪文から逃れようと、必死に朝を待った。
朝が訪れた。その日から私は、誰のものかわからない記憶と心を、自分の中に同居させることとなった。

