長尾さん、見えてますよ








「だから、私が君を傷つけてしまったら教えてほしい」






「………………………は、い…」







顔を上げたことで重なった視線と、柔らかく暖かな感触が、指先まで冷えた手に温もりを与えてくれる。






数秒遅れてやっと理解し、なんとか返事をするもその声は掠れていて、目元まで熱さが滲んできた。







「きっと、私も変わり始めたんだと思う。傷つけないように、なんて言おうか考えたことは、今までなかったから…」







無機質だと思っていた眼差しには、しっかりと俺の姿が映っている。







「…一緒に…いてくれるんですか」







問いかけているくせに、触れてくれた手を離したくなくて、今度は繋ぎ止めれるようにと必死に握ってしまう。







「…まだ良くわからないけれど、それでもいいのなら」






「…ありがとう」







今すぐにでも抱き締めたい。






強い衝動に駆られても、まだ同じ気持ちではないこの人を、行動で傷つけたくない。




 
きっと今までで初めて、そして一番の気持ちを込めた感謝を伝えて、抱きしめられないかわりに、両手でそっと強く、彼女の手を握った。