テンポよく交わされていた会話が途切れると、人は色々勘繰りたくなるものだと思う。
面倒な予感は的中し、中々言い出さない俺に、ニヤニヤと笑みを浮かべて問いかけてきた。
「なになに、…まさかこれっ?」
両手の親指同士をクロスさせたハンドサインを、俺は見たこともないし意味も知らないが、真島の言わんとすることは腹立たしくも分かってしまった。
要は色恋沙汰ってことだろう。
「…俺にいるように見える?」
どこかで同じ台詞を言った気がするが、その時よりも明らかにその問いかけに自信がないのを感じる。
「さぁね。てか、皆実とはどうなの?あれから会ったりしてないわけ?」
「…誰?」
「いやこの間会ったのにもう忘れたのかよ!橋島皆実、俺が紹介した友達!」
「…ああ、そうだった。…俺別に紹介頼んでないけどな」
真島の言い分が不服だったので、釘を差しつつ、あの日の会話をふと思い出した。
『俺と付き合って、どうしたいの?』
『デートしたり、そばにいたり、恋人じゃないと出来ないことがしたいかな!』



