「ぅおっ、あ、すみません。…どうしました?」







心底間抜けな声が出たことをすぐに後悔するも、あの(無関心な)ももさんに2回も話しかけられたことへの驚きの方が上回る。







「体調、大丈夫ですか?」






「え?はい…。えーと…何でですか?」







唐突な心配に全く心当たりがなく、そのまま聞き返してみると、ももさんの視線は俺の手元のペットボトルへと移った。







「食欲、ないのかと。ぼーっとしてましたし」






「…」






「…?」






「…あ、すみません。何でもないです。体調も大丈夫です。ありがとうございます…」







なんとか冷静を装い、その後不自然に泳いだ視線と熱を帯びた耳を隠すように、頭を下げた。






―ももさんから話しかけられることは全部気まぐれだと思っていたが、もしかして普通に心配してくれたのでは?






普通っていうのも、ももさんにとって普通に話せる関係に俺は昇格したっていうことなのか…??






ご都合主義の脳内を止められるのは自分自身のみだが、どうにもハッピーなこの気持ちを押さえつけて、浮かれた思考を吹きとばす鉄拳を頬に打ち込める環境ではない。






やったら終わりだ。真島行きと言っても過言ではない。






仕方なく、淡い期待で染まった表情を隠すことしか出来ず、そして、ももさんもそれ以上は何も聞いてこずに、この夢のような時間は終わりを迎えてしまった。