Tageliet──永遠の秘薬──

「なぜ人は、永遠の命を欲しがる? 何もいいことなど⋯⋯ありはしないのに⋯⋯⋯⋯」

「クラウス⋯⋯?」

 悲しそうなその背中にイザベラがそっと呼び掛ける。

 答えはなかった。

「俺が『誓いの書』をクリスティーナに預けたことで、彼女はその命を絶たれた。全て、俺のせいなんだ⋯⋯」

 ヴァンパイアであるクラウスと心を通わせていたことを知った当時の宰相であり彼女の父であるゲオルクは、クラウスの目の前でクリスティーナを殺害したという。

「実の父にその命を絶たれようとも、彼女は決してその在り処を口外しなかった」

 ヴァンパイアと恋仲にあった自分の娘。種族を越えた恋愛に怒りを覚えたゲオルクは、クラウスに対する見せしめのように自身の娘に手をかけた。

 今、この国に伝わる『Tagelied』と言う名の悲恋の物語は、そのクラウスの悲しき過去の実話が元となっているのだ。