Tageliet──永遠の秘薬──

「俺は父から託された『誓いの書』をクリスティーナに渡し、どこかに隠して欲しいと頼んだ。そしてそのありかは絶対、誰にも喋るなと彼女に念を押して」

 もしその書物を彼が持ったままでいれば、クラウス自身が殺されてしまった時に、それを奪われてしまうからだと。

「一体その歴史書に何が書かれてるって言うんだ?」

 イザベラを見つめたままだった視線が、ライナーの問いかけに逸らされる。

「元帥閣下、あなたの部下はその中身を知った上で、この城を襲ったのでは?」

「何⋯⋯?」

「『誓いの書』の中身を知らなければ、この城には辿り着けない」

「元帥閣下」とまるでライナーを揶揄するよう、クラウスはフッと鼻をならした。

「『誓いの書』に記されてあるのは、ただの歴史だけではない。そなたの父や宰相、皆が欲しがる『血清』の生成方法こそが、そこに記されてあるからだ」

 クラウスはベッドからゆっくりと降りると立ち上がり、窓から覗く月を見上げる。綺麗な弧を描く光りに、ポツリと呟いた。