Tageliet──永遠の秘薬──

「俺はそんな命令出してない」と声を上げるライナーに、「分かってるわよ」と再びその背にしがみついた。

「ってことは⋯⋯ギルベルトだな」

 それは疑問の余地なしだった。反論する気もなければ、その根拠もなかったからだ。

 けれどギルベルトは一体何のために、クラウスを狙っているのか? 国王と何を企んでいるのか────?

 全速力で馬を走らせるライナーに、その先を真っ直ぐだと告げる。見渡す限りの銀世界は、緑溢れる森さえも真っ白に覆い尽くしていた。

 クラウスの住まうライヒシュタイン城は、『闇の森』の奥深くにある。

 開け放たれたままの城門を抜け、大扉の前で馬を降りると二人して一目散に城内へ駆け込んだ。そしてこの城のどこかにいる彼に聞こえるよう、イザベラは声の限りに叫ぶ────「クラウス!」と。

「どこにいるの!?」

 広すぎるエントランスに、彼女の声が反響し消えていく。

「お願い!! 出てきて!」

 顔を見せてと心の中で訴える。相変わらず静まり返った城内は、外の寒さに負けないほど冷えきっていた。