Tageliet──永遠の秘薬──

「あんた、ここに一人で住んでるのか?」

 ふと浮かんだ疑問を青年は口にする。

 広く大きな城の中は冷たく静まり返り、階段の手摺り、壁に掛けられている写真や絵画、豪華な装飾品などはどれも埃だらけ。掃除など行き届いておらず使用人の姿さえ見かけない城内には、自分たち以外に人の気配は全く感じられなかった。こんな人気のない森の奥深くにひっそりと佇んでいるこの古城には、その彼がたった独り⋯⋯。

 物言わぬその姿に、青年は無言を肯定と受け取った。

 何も言わず眠る彼女の看病を黙々とこなす。相も変わらず無口なままで。

「その人の容態は?」

 ここにやって来てしばらく、会話らしい会話も交わさぬまま、二人の間には沈黙だけが流れて行く。青年はゆっくりとソファーから立ち上がり、ベッドの側まで来るとその様子を窺った。別に答えなど期待してはいない。どうせまた自分の一方通行な独り言で終わってしまうだろうから、と。

 深手を負った先客がいたとは知らなかった青年は、自身がやって来たばかりの時よりも、幾分か良くなったその顔色をまじまじと眺める。そしてその頬にそっと触れ、その温もりを確かめていた。