Tageliet──永遠の秘薬──

 剣を交えながらもどうにかこうにか思いを伝えようと必死の上官に、マティアスも心を動かされる。二人は長い付き合いだ、お互いの小さな嘘さえ見抜ける間柄。

 最近、軍にいてもどこか違和感を感じていたマティアスは、自身の感と上官であり友である者を信頼する自分自身を信じようとその剣を下ろした。

「聞こう」とだけ告げる彼に、ライナーは頷く。自分は争う意思のないことの証明に剣を鞘にしまうと、乱れた息を整え語り始めた。

「昨日、イザベラと俺は『闇の森』でリーフェンシュタールの末裔に会った。そこで出会ったのがさっきのヴィクトール・ヴェルナーだ。彼は正真正銘、ヴィンフリート王の血族。この国の玉座に就くべき人物なんだよ」

「そんなこと、なぜ分かる? もう四百年も昔の話だろう?」

「リーフェンシュタールの末裔⋯⋯クラウスが証人だ。彼は本物のヴァンパイア。それは間違いない。しかし⋯⋯彼は人の血は欲しない────それが全ての始まりだったそうだ」