メガネを外したその先に

「やだ…」


お札を握る手に、どうしたって力が籠ってしまう。


「もと教え子だから、おごってくれるんでしょ?」

「それの何がダメなんだ」

「だって、それだとずっとせんせと対等じゃない」


越えられない壁を破りたいと思うのに、いつだって先生に一線を引かれている気がする。


「いつになったら、先生とか生徒とか…そういうの、なくなるの?」


アルコールで理性まで飛んだ私の口から、ポロポロとずっと抱えていた本音が零れ落ちる。