メガネを外したその先に

それに先生が気付いたかどうかは定かでなかったけれど、私の手元からコーヒーセットが抜き取られた。


「もらっとく、ありがとう」


たったこれだけのことが、泣きたくなる程に嬉しい。

誤魔化すように手元のアルコールを流し込んだけれど、瞳は今にも涙が溢れそうなくらい潤んでいた。


「つーか、飲み過ぎじゃね?」

「へーきだよ、まだ大丈夫。」


楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。

先生との時間が終わって欲しくない気持ちとアルコールが相まって、私はいつも以上に饒舌になっていた。